レポート
【つなぐ台東】第9回 久々のアートワークショップ開催しました
「さあ、どうする?」
ひとりひとりに突きつけられているようだ。
増え続けるコロナの新規感染者。
されど廻り続ける日々の生活。
今この時をどのように自分たちが考え、行動するのか。
「試されているのか?」
そんな風にさえ、ふと思えてくる。
コロナ以前、つなぐ台東で毎月のように開催されていたお絵かきワークショップ。
それが途絶えて一年が経った。
致し方ない。障害福祉施設はより過敏なところだ。
自己防衛のできない方もいる。免疫の弱い方もいる。
そんな中、支援員の方々の「自身が決してクラスター源になってはいけない」という精神的負担は僕らの計り知れないものがある。
そんなつなぐ台東第二福祉作業所の支援員の方から、久々の一報があった。
「ワークショップできます!またぜひ一緒にやりましょう」
なんと僕らと再び絵を描く為に感染対策プランの企画書をつくり、本部より開催の許可を得る事が出来たのだ。
絵を描く利用者が2名。
サポートをする支援員の方が2名。
指導員として僕らNODDが2名。
最低限の人数、しっかりした感染対策の中、ふたたび僕たちはワークショップを開催した。
以前は全員で絵を描いていた。
密になる事をむしろ楽しんでいた。
そこから生まれるコミニケーションやアートが多くあったのだ。
しかし今はそれはできない。
工夫を凝らして安全に、ゆっくりと時を動かすように始まった。
静かな空間に筆を走らせる音が響く。
それはリズミカルに、そして軽快に。
今回のテーマは『宇宙』だ。
画材は水彩、アクリル、パステル、コピックなど様々な種類から自由に使っていただく。
最近は第二福祉作業所としては模写に取り組んでいたという事で、参考となる出力を用意した。
だが、僕らは知っているのである。
彼らが生み出す絵は、そんな参考など遥かに超えてしまうという事を。
様々な画材を駆使し、自分なりの宇宙を作り上げていく。
もはや参考の紙は見ていない。
久々に思い切り絵を描くことができる。
この喜びが、進む絵と姿勢によって感じられるのだ。
多くの言葉を持たない彼らにとって、絵とは自己表現であり、言葉にならない言葉を生み出している。
僕たちは最低限のサポートをする。
「教える」のではなく「導く」ように。
そしてそれぞれが2枚の宇宙を描き上げた。
久々に行ってみて感じたのは2人の変化。
とても落ち着きのある物腰で作業に取り組んでいたのだ。
人数が少ないからかな?
と、思った。
しかし支援員の方の話によると、生活や日々の仕事への取り組む姿勢などがこの一年間に変わって来ているのだと。
変化というより成長。
そしてそれが作品にも現れている。
描きすぎない「引き際」という事が出来ているのだ。
これには驚かされた。
仕上がった絵を眺め、改めて彼らの絵が世の中で必要性のあるものと感じる事ができた。
個を打ち出し、独自の価値観を打ち出していこう。
アートをデザイン化し、世の中に必要とされる商品まであと少し。
それではまた次回を楽しみに。
Photography & Written : 寺門 誠/ Makoto Terakado
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